Period-Mathematics

使うための類体論 ~類体の定義,そして理論の肝,また展望を少し~

はじめに 類体論の種類について 類体の定義 類体論の肝の主張 類体論とは何か?に対する答え 類体論の証明についてのコメント 類体論の一般化 はじめに (本記事で扱う類体論は代数体に対するイデアルによる大域類体論である.)$\def\A{\mathbb{A}} \def\B{…

抽象代数学の威力を具体的な問題で体感する(コサインが有理数値を取る有理数角度の特徴付け)

次のような問題を考えましょう: 問題:$0 有理数となるような$a,b$を全て求めよ。(こちらで見かけたのがきっかけです: cos(rπ)∈ℚとなるr∈ℚについて | Mathlog) 解法 リンク先では高校数学の範疇で難しい議論をしていますが、この問題は代数学を使えば比…

非ユークリッド幾何から多様体へ

(今はまだ一番下にあるスライドからコピペしただけな段階で詳しい説明などは後日追加します) はじめに この記事ではなんで人類が多様体なんてものを考えだしたかその歴史的,数学的な流れを丁寧に追ってみたいと思います.なぜ多様体は重要かと困惑してい…

数学科の新入生に向けて ~数学科に入る前に知っておく/やっておくといいかもしれないこと~

述語論理表記(記号論理学) ~現代数学のあいうえお~ 個人的な注意 (現代)数学の全体像 個人的な注意 ブルバキスタイルについて 個人的な注意 本を読んでわからないのは本のせいという可能性も普通にあること 英語略称 ~楽に書こう~ 検索は英語で 個人…

数学者たちの言葉 ~「数学の歩みbot」から~

はじめに 数学の学習について 数学の研究について どちらにも当てはまり得る話 殿堂入り その他(個人的趣味) はじめに 高名な数学者たちの言葉をつぶやくTwitter上のbot「数学の歩みbot(@Auf_Jugendtraum)」の中から個人的に心に留めておきたいものを集…

可解な5次方程式のべき根による構成的解法

(はてなブログでMathjaxを使うとギリシャ文字を含む文章が読み込まれなかったりするという不具合があるそうです。何回かリロードあるいはPC版サイト表示などを試すと読み込まれると思います)本稿はDummitによる1991年の論文"Solving solvable quintics"で…

有理対称式の基本定理をガロア理論で示す

を体、を(相異なる)変数、をの次基本対称式とする。本稿で示したい定理は以下である。[定理] 有理対称式は基本対称式の有理式で表せる通常の対称式の基本定理と呼ばれるものは対称「多項式」に関するもので、表現の一意性までを含めて主張している。今回扱…

巡回多項式を代数的に解く

巡回多項式とは簡単に言えば一つの根をもって他の根をその多項式で表せるような特別な多項式のことである。これについては period-mathematics.hatenablog.com で詳しく取り上げているが、そこの主定理によると既約多項式に対して、それが巡回多項式であるこ…

S_5の可解な可移部分群の決定

本稿はhttp://repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/1612/1/ZD30301003.pdfの前半の内容で述べられているの可解な可移部分群の決定の行間を埋めたものである。以下「」でがの部分群であること、「」で部分群が共役であることを表す。 唐突だがの…

多項式のガロア群の計算~PARI/GP入門~

「与えられた多項式のガロア群を求めたい」という古典的欲求に応えるものとして今日では計算機が役に立つが今回はPARI/GPというものを採用したいと思う。これについてはperiod-mathematics.hatenablog.comでも「アルゴリズムの計算の実例」という節の始めで…

有限群に対する可解群の定義の同値性の証明

可解群の定義は交換子列が有限でとまる(最後が自明になる)という記述がよく群論の教科書では採用されているように感じる。しかし本によっては交換子の概念を出さずにやっているものもある(特にガロア理論に関する啓蒙書でよく見る気がする)。具体的には…

「解の巡回」にトドメをさす!~ガロア理論による背景の完全解明~

まず次の問題を見てもらいたい。 2017年の早稲田大学の入試問題である。解答は適当に検索すると例えばhttp://nonoishi.web.fc2.com/entexam/nyuusi17-1.pdfが見つかる。そこには、その根はと書いてある。 この特別な多項式を「巡回多項式」、をその「巡回関…

代数体上の多項式の因数分解

本稿では次の問題を考える。 ”を代数体上で因数分解するにはどうしたらよいか?” これに対する答えとなるアルゴリズムがhttp://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/0722-02.pdfの始めに載っている。ここではそれの証明および計算の実例…